映画『花束みたいな恋をした』は、大学生の麦と絹の2人は、共通の趣味や価値観を共有し結ばれました。
しかし、この映画が伝えるメッセージは決して単純ではありません。
あらすじから面白いポイントやタイトルに込められた意味についても考察しています。
あらすじ
2015年、大学生の山音麦(菅田将暉)と八谷絹(有村架純)は、東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことがきっかけで出会います。“好きなもの”が共通していた2人は、自然と恋に落ちました。大学卒業後、フリーター生活を送りながら同棲を始め、現状維持を目標に就職活動を続けます。しかし、時間が経つにつれて、麦と絹の「生活」には少しずつ陰りが差し込み、二人の関係は変化していきます。
/
— 映画『花束みたいな恋をした』公式【Blu-ray&DVD好評発売中!!】 (@hana_koi_jp) August 17, 2020
『#花束みたいな恋をした』超特報💐
\
バイト、同棲、就活。
いつでも二人で一緒にいた20代のぜんぶが、
ずっと楽しかった。
猛スピードで加速する恋の忘れられない〈最高の5年間〉を描く、
2021年ラブストーリー決定版!#菅田将暉 #有村架純 #坂元裕二 #土井裕泰 pic.twitter.com/cKIgnZ9HtG
キャスト
- 有村架純
- 菅田将暉
- 清原果耶
- 細田佳央太
- 韓英恵
- 中崎敏
- 小久保寿人
W主演のプロフィール
有村架純(ありむら かすみ)
- 生年月日: 1993年2月13日
- 出身: 兵庫県
- デビュー年: 2010年(サンケイスポーツの新春企画「新春ガールズ」で芸能界初仕事)
- 代表作:
- 連続テレビ小説『あまちゃん』(2013年)
- ドラマ『中学聖日記』(2018年)
菅田将暉(すだ まさき)
- 生年月日: 1993年2月21日
- 出身: 大阪府箕面市
- デビュー年: 2009年(平成仮面ライダーシリーズ『仮面ライダーW』で俳優デビュー)
- 代表作:
- ドラマ『民王』(2015年)
- ドラマ『ミステリと言う勿れ』(2022年)
面白いポイント
あるある共感ポイントがあふれている
映画『花束みたいな恋をした』は、観る人の心に共感を呼ぶ恋愛描写が魅力です。
物語は恋愛映画の王道ともいえる出会いから始まり、どこにでもいそうな普通の男女が主人公です。
2人が共有する趣味や好きなカルチャーに対する「伝わらないもどかしさ」もリアルに描かれています。
ガスタンク好きの麦と、ミイラ好きの絹。
お互いの好みに共感しているようですが、どことなく伝わっていない様子がシーンとして描かれています。
また、心の声のタイミングも絶妙で、恋の始まりの初々しさも胸を打ちます。
暮らしの中で見つけるささやかな幸せや、恋愛がうまくいっているときに自然と似てくる服装など、恋人同士なら「あるある!」と共感せずにはいられないエピソードが詰まっているのは面白いポイントだと感じました。
カルチャーの応酬に笑みがこぼれる
映画『花束みたいな恋をした』は、2015年~2019年のカルチャーが次々と登場する二人の会話が印象的です。
例えば、きのこ帝国や天竺鼠の話題、押井守さんや『ゴールデンカムイ』『宝石の国』といったマンガ、さらには今井夏子さんの小説まで。
こうした共通の趣味が二人を結びつけ、「運命のようなもの」を感じさせます。
本棚でお気に入りの本を確認しながら楽しむシーンには、青春を思い出し、思わずクスリと笑ってしまう観客も多いはずです。
しかし、麦が就職してからは生活が変化し、かつての趣味や好きだった文化に触れる時間が減っていきます。
そんな日常の移り変わりが切なくもリアルに描かれています。
映画に出てくるカルチャーの一部
- きのこ帝国
- 天竺鼠
- 押井守
- ゴールデンカムイ
- 宝石の国
- 今井夏子
- パズドラ
- 本棚で答え合わせ
幸せの価値観について考える
映画『花束みたいな恋をした』は、幸せの形について考えさせられる作品です。
共通の趣味や嗜好で深く結ばれた二人ですが、やがて仕事や生活リズムの変化によって次第にすれ違い始めます。
夢中だったカルチャーや特別だった時間が、現実の中で少しずつ変わっていく様子は、観る人の心に切なさを残します。
物語は、いわゆる「王道のハッピーエンド」では終わりません。
しかし、二人の選択にはそれぞれの幸せの価値観がにじみ出ています。
異なる未来を選んだとしても、共に過ごした日々の輝きは失われません。
幸せの定義が一つではないことを深く感じさせるのではないでしょうか。
感想
W主演の演技力
『花束みたいな恋をした』での有村架純さんと菅田将暉さんの演技は素晴らしいものでした。
二人の表情やしぐさから、恋の初々しさや関係のすれ違いによる微妙な変化まで、見事に表現されており、二人の物語に引き込まれました。
ただ、麦も絹も「いい人」過ぎるように感じました。
作中では悪い人や人間の嫌な部分がほとんど描かれておらず、全体的に美化されているように思えます。
特に絹の浮気についても、すれ違いの結果として描かれているものの、現実の恋愛ではもっと人間の汚い部分や感情のぶつかり合いが表に出るのではないかと感じました。
この点で、少し「きれいごと」に見えてしまったのが正直な感想です。
とはいえ、二人の演技力がその美しい物語を支えているのは間違いないでしょう。
泣けるストーリーか?
『花束みたいな恋をした』は、多くの人が「泣ける映画」と評する作品ですが、私自身は泣きませんでした。
ただし、この映画が持つ感情の深さや繊細さを考えると、観る人によっては涙するだろうと感じます。
特に、主演の有村架純さんや菅田将暉さん演じるキャラクターに自分を投影し、どちらかに強く感情移入してしまうと、相手に伝わらないもどかしさや気持ちのずれに心が揺さぶられるはずです。
その共感が涙を誘うポイントになるでしょう。
私自身は感情移入しすぎることはなかったものの、2人のすれ違いを見守る中で、胸にジンとくる瞬間がいくつもありました。
泣くかどうかはその人の経験や感受性に左右される映画だと感じます。
絹は浮気したの?
絹が「一回くらい浮気したことあるでしょ?」と尋ねるシーンから、彼女が浮気をしたことをほぼ確信しました。
このセリフは浮気経験がないと出てこないと思っているからです。
私は、絹が加持とラーメンを食べに行ったときに浮気をしたのではないかと考えています。
誘い方や応じる様子に、少しずるい男女の関係が描かれているように感じました。
また、絹は肉食系女子の一面も見せ、富小路くんとの焼き肉デートには、後の展開を期待していたのでは?と感じさせているように見えました。
2人の結末はよかったのか?
麦と絹は趣味や嗜好で深く結ばれていましたが、その結果、互いに飲み込んでしまったものも多かったように感じます。
少しの価値観のずれが、二人の関係に大きな影響を与え、最終的に別れを選んだことで、美しい記憶として残る恋愛になったのではないでしょうか。
絹は恋愛に期限があると考えていたように思えます。 それは愛読していたブログ「恋愛生存率」の「はじまりはおわりのはじまり」や、加持の話に納得する場面からもその思いが伺えます。
二人の選択は、互いの未来を考えた結果だったと感じます。
恋愛映画だけどカップルには不向き
『花束みたいな恋をした』は、絹と麦の恋の始まりから終わりまでを丁寧に描いています。
しかし、二人のすれ違いや価値観のギャップが浮き彫りになる過程は、カップルで観るには少し複雑な感情を呼び起こすかもしれません。
お互いの考え方の違いを突きつけられる内容は、観後に気まずさを感じることも。
個人的には、一人でじっくり観て、自分の恋愛観を振り返る時間にする方が、この映画のテーマを深く感じられると思います。
『花束みたいな恋をした』感想
『花束みたいな恋をした』は、共通の趣味を持つ大学生カップルが、時間の流れとともに変化する価値観や生活に揺れる姿を描いた心に残る恋愛映画です。
恋の始まりの輝きと、その後訪れるすれ違いをリアルに描きながら、幸せの形について考えさせられます。
二人の選択がどのように結びつくのか、その先の未来にどう向かうのかが気になる方には、ぜひ観てほしい一作です。
感動的なストーリーを通して、あなた自身の恋愛観を再考するきっかけにもなるかもしれません。
